里川フライフィッシング

ゆったりとフラットな流れにラインを置く。
流れがゆっくりとラインを解いていくのを見つめる。
水面が小さく弾けた。
乗らないのは何故かと考える。
あれやこれやと自問自答を繰り返す。
駆け引きに没頭していく。

魚が大きかろうが小さかろうが。
車を長距離走らせて入り込んだ冒険の山岳渓流だろが近所の里川だろうが。
渋い時の最初の一尾には価値がある。

その一尾を流れに戻して立ち上がる。
空を見上げてハッとなる。
目覚めたように、周りの世界が自分の世界に飛び込んできた。

ジョギングやサイクリングする人が通り過ぎていく。

トンビが空高くを旋回している。

背の高い夏草の青臭さ。

畑仕事の老人がゆっくりと歩いていくのが見える。

白鷺がブロックの上からジッとチャンスを伺っている。

郵便配達のカブや宅急便のトラックが止まっては去って行く。

通りすがりの親子が川を覗き込む。

波打ちながら蛇が川を渡っていく。

すすきの穂が風に揺れる。

フォルスキャストしたフライにトンボがしがみつく。

鴨が列をなして泳ぐと、オイカワの群れが大移動してくる。

民家に温かい灯りがともり始める。

流れてくる野焼きの煙に混じって夕食の支度の匂い。

群青色の空に浮かんだ黒い山の向こうに、群れをなした鳥が飛んでいく。

僕も帰ろう。

人の生活を傍に感じながらも、多様な生物の集う場所。

経年変化を楽しむロッドケース〈The Lace Up〉

経年変化を楽しめるロッドケースが欲しかった。
ロッドをしっかりと護れて軽いこと。
バックパックに取り付け出来ること。

ハードケースに筒を探した。
軽い素材の筒は紙管とし、防水のために上からカッティングテープでラッピングした。
バックパックに取り付けするため、この筒にジャケットを着せることを考えた。
多少の筒径違いにも対応できるように、ジャケットとのフィッティングには編み上げ方式を採用した。
これなら、フライロッドでよく使われているアルミチューブにも着せることが可能だろう。
編み上げブーツの雰囲気をロッドケースに落とし込む試みとなった。

僕はブーツ好きだ。
特に8ホール以上。
ブーツレースを1通しごと丁寧に締め上げて行く度に気持ちが引き締まる。

忙しい日常でブーツを鑑賞するヒマはなかなかないものだから、編み上げている時間が1番気にしてやれる時だ。
ゴツいレザーのやれ具合を確認する。
あっ、ココに傷が出来たとか、アタリが付いてきたな、なんて成長を感じて満足する。
自分の習慣がものに移って行く。
大量生産品が自分仕様になる為に経年変化は欠かせない。
経年変化は、使い続けて育つもの。
経年に耐えうる素材であること。

このロッドケースもそんな風に育っていってほしい。

バスフライフィッシングの集い

フライフィッシングでバスを狙う。

ルアーサイズほどの大きなフライを投げてバスを釣るジャンルが存在する。
使用するフライは、こんもりしていて、カラフルでどこか愛嬌がある。

見ているだけでも楽しくなるようなフライにバスが食らいつき、ロッドが絞り込まれて、引きづり回されるのだ。
バスの力強さがダイレクトにフライラインを引く手に伝わってくる。
型の良いバスになると、出ているラインを急いで巻き取り、リールのドラグに頼ることになる。
スピニングリールと違い、フライリールはギア比1:1が多い。
ラインを出された分だけ巻き取る熱い展開に巡り合うチャンスもある。

ただでさえ少ない日本のフライフィッシング人口において、バスフライはかなりニッチなジャンルだろう。
バスフライ仲間は貴重な存在だ。

友人と一緒になって、バスフライの集いを計画した。
キャンプしながらビール片手にマニアックなタックル話や、焚き火の香りを肴にタイイングしたり、マッタリとユルイ集いである。

インスタグラムで仲間を募り、毎年1人、2人と仲間が増えている。
来年で4回目を迎える。
実に嬉しいことだ。

興味ある方は連絡を!

クライミングロープの世界観を表現する試み〈ロープトート〉

クライミングロープを使ってトートバッグを自作した。

きっかけはクライミングスクールだった。
ハーネスにでロープを結ぶ。
二重の八の字結びだ。

二本のロープが交差してはダメだと言う。
平行のまま八の字で結ばなければならない。
これを何度も練習した。
合格と判定された結びは、ロープのカラフルな色柄と相まって美しかった。

この雰囲気をトートバッグに落とし込みたかった。

バッグには厚手の帆布を使い、
入れ口周りは柔らかいレザーを一周させた。

ロープが通るループ生地の両端には銅のリベット。

何年か使用して、アタリが出る頃に完成とした。

製作は2014年の1月。

日常的に使用しているが、アウトドアショップに行くと店員は気になるらしく声をかけてくる。
11mmロープを折り返してぐるりと底を回しているため重量があり、持ち手部分はロープ4本分となる。

最近では銅リベットもすっかり変色し、帆布にはアタリも出始めて完成に近づいている。

ペグはもう無くさない〈ペグバケツ〉

ペグ、これで全部だっけ?
毎回ちゃんと数えてますか?
もうこれ以上ペグは無くしたくないから、ペグバケツを自作した。
これを製作したのはいつだったか?と自分のインスタグラム投稿を遡ったら2015年の1月だった。四年弱の間、僕はまだ一本もペグを無くしていない。

気づいたら一本無くなっていた、なんて経験はよくあることで、僕もこれまでに結構な数を無くしてきたし、残置ペグを拾ってもきた。
いつのまにか無くした数と拾った数が釣り合って合計数は足りていることもあるのだが。

キャンプに慣れてくると、自分の用途に合ったペグセットを買い出す訳で、一つでも無くなると金銭的にも精神的にもくるものがある。

どうしたら無くさないか。

抜いたら放って置かないこと。
全数足りているか毎回ちゃんと数えること。
この二つを徹底していれば、まず無くすことはない。

それを理解しながらも無くしてしまうのは、その作業が面倒くさいからだ。

そこで考えたのがペグバケツ。
帆布製のバケツ外側に30本ほどのペグが挿せる。
その差し口にペグの数だけ数字をスタンプした。もちろん手書きでも良し、ペグの種類毎に色分けも良し。

やる事はただ、抜いたペグを順番に挿し込んでいくだけ。
抜いたら直ぐ挿す。
これをする事で、抜きっぱなしの放置を防ぐ。
番号の最後まで挿し込んだら、それで全数揃っていることが分かる。

友達や家族に抜いてもらう際にも、このナンバリングは役に立つ。
一目で全数チェックが可能だ。

バケツの中にはハンマーやガイロープがドサドサ入る。

ペグセット一式を持ち運びながら、スマートにペグが打てて紛失なし。

暖色光のヘッドランプMS-B1〈マイルストーン〉

暗闇に慣れた目に優しい電球色LEDの灯り。
ライトを点けてから暗闇に戻っても目がチカチカしない。
メインの電球色の他に、白色と赤色のサブライトも装備している。
地図の細かな情報を確認したいときには白色ライトでハッキリと。
写真撮影や釣りでは赤色が役に立つ。

白色LEDライトの灯りを不快に感じたことはないだろうか?
日が沈んで黒い山の輪郭が浮かびあがる頃、目は徐々に暗闇に慣れ始める。
火に木をくべながら、焚火の香りと爆ぜる音で心は次第に鎮まっていく。
心身ともにリラックスした最高の状態だ。

だが一時的にその場を離れなければならない時がやってくる。
くべる薪がなくなって、追加の薪を探しに行くとき。
トイレに立つとき。
おかわりのウィスキーを取りに行くとき。
ライトの青白さで一気に心が冷めるとともに、脳が叩き起こされて不快な思いをする。
焚火に戻ってもしばらくの間は目がチカチカして直ぐにはリラックス状態に戻れない。

長年のそんな不快感を解消してくれたのがマイルストーンだ。
使い始めた当初は、暗闇を照らす灯りとして暖色LEDに若干の物足りなさを感じたりもした。
白色は光の強さ以上に、目に明るく感じるからだ。
同じ光の強さで白色と暖色とを比較すると、白のほうが明るく感じて、暗闇を照らすライトの役割を発揮しているように感じるが、これは慣れの問題でもあるようだ。
実際に使っていくうちに暖色でも十分に地形は把握できるし、白よりも凹凸がわかりやすい。
霧など視界が白い状態では暖色の方が見やすいのは事実だ。

寝袋に入って、テントの外から聞こえてくる自然の音をBGMに物語の世界に入る際にもお勧めだ。

アウトドアの原体験を感じられるフライボックスポーチ

僕はフライフィッシングを始めた時から、フライを入れるケースはタバコのブリキ缶だ。
フライタイイングのパターンを一つ、また一つと覚えるたびにブリキ缶のスペースが埋まり、
ドライフライとニンフ、ウェットを分けるために缶は三つになった。

フライケースの出し入れは体の中心が好みだ。
だから、首掛けのポーチ仕様をデザインした。
ブリキ缶はところどころ傷がつき劣化が始まっている。
ならば、それを入れるポーチも経年変化が楽しめる素材が良い。

コットンキャンバスとレザーレザーストラップを素材に選んだ。

幼少期にカブスカウト、ボーイスカウトで過ごした僕にとって、オリーブグリーンのキャンバス地には馴染みがある。
その頃の思い出を道具に落とし込む。

無人島キャンプ入門〈友ヶ島〉

自分の足で、自分が持てるだけの道具でキャンプがしたい。
そこに船の移動が加われば旅感が倍増する。
そんな欲求を満たしてくれる場所として友ヶ島をお勧めしたい。

装備は40Lのバックパックに収まる装備で選別した。
バックパックは愛用しているカーゴ40(パーゴワークス)
パッキングリスト。
・Poler napsack (寝袋)
・ニンジャタープ/パーゴワークス(タープ)
・ニンジャネスト/パーゴワークス(インナー)
・ニンジャファイヤースタンド/パーゴワークス(焚火台)
・スウィングL/パーゴワークス(サブパック)
・Zライトソル/サーマレスト(マット)
・SOTO MUKA(シングルバーナー)
・飯盒/エバニュー
・LEDランタン/ジェントス
・フライロッド インファンテ4P / ティムコ
・ラインバスケット
・PENTAX K-50(デジカメ)
・折り畳みのこぎり
・グローブ
・その他(着替え、食器、水など)

友ヶ島は軍事施設であった。
今でも要塞が島の各所に残っており、多くの観光客が訪れる無人島だが、一軒の宿泊施設があるため泊まりも可能。
キャンプ場も二ヶ所の指定地が設けられている。

和歌山の加太港から友ヶ島汽船に乗船。

乗務員の示す先にはイルカの群れ。

約20分の船旅で友ヶ島へ上陸。
島に近づくにつれ、多くのプレジャーボートが現れる。

船着き場から山道を歩くこと30分ほどで南垂水キャンプ場に到着。
オートキャンプの感覚でクーラーボックスを運ぶには少々険しい道のりとなる。
食料、装備共に必要最低限をお勧めしたい。
なぜなら、あちこちゴミだらけだからだ。
期待していた場所だけに、残念でならない。
ここまで持ち込めたのだから、持ち帰るのも可能なはずだが、要らなくなったものは残して去る。

浜辺の流木を厳選し、適切な長さにカットして立ち上げた寝床。
軽量なシルナイロン製のタープとネスト。ポールは持参せず現地の流木を使用すればかなりの軽量となる。
ここで家族4人が一夜を過ごす。

設営が終わったら、晩飯調達と薪拾いへ。
ここのフナ虫は設営地である芝までやってくる。

岩の隙間から小カニや亀の手を発見。

この島の特徴的な斜めの地層。

魚釣りは不発に終わり、帰りがけに薪を集める。

焚きつけの松ぼっくりを探すが、松の木の下は綺麗なもので、一つとして落ちていない。
ゴミはそこら中に落ちているのに。
湿った薪に火をつけるため、念入りにチップを削り出す。

予想通り苦戦し、やっとのことで火が上がる。
ここまでくれば、あとは燃やしながら次に投入する薪乾燥も同時に出来る。

燠の安定した火力に飯盒をかける。
薄明りと真っ暗闇の狭間のひと時。
この先は獣の時間。
人間は謙虚に最低限の明かりで闇を共有させてもらう。

前日の雨模様から一転、快晴の朝。
行動用のサブパックで要塞巡りへ。

こんな離れ島に戦争時の大事な拠点があったという事実。
この島には渓流が見当たらない。
飲み水は本島から食料と一緒に定期便で送っていたのだろうか。

現代社会の時間軸から外れたような不思議な感覚に陥る。

頂上からの眺め。
近くの島々と、多くのプレジャーボート。
この辺りは良い漁場らしい。

島にやってきた大勢の観光客と入れ替わりでフェリーに乗り込む。
シンプルなキャンプが出来たことに満足感を覚えた旅となった。
何がシンプルか?
最小限の装備と、持ち帰ったゴミの量だ。
コンビニ袋の半分にも満たないゴミで抑えることができたことが、とても気持ち良かった。

土日で気軽に行ける無人島キャンプとして友ヶ島はお勧めだ。

父子3人 淡路島バイクパッキングトリップ

出発予定時刻から2時間遅れで家を出た。

目指すは明石のフェリー乗り場。

グーグルマップで検索したら徒歩で5時間半。

裏六甲から浜へ下るまでには、大小の起伏がある。普段車に乗っていると感じないほどの坂が自転車だと大層な坂になる。

須磨、垂水の文字に心踊る。

しかし、遅れ挽回の下りで判明したこと。次男はまだブレーキにしっかりと指が届かず、スピード上げてからの減速はかなり危険。

やっと海岸線に出られた。

立ち止まって、貨物列車を見送る余裕を見せる長男。

平坦な道がこれほど楽なこととは。

もうほとんど着いたような気分だが、さにあらず。

この旅、一番のランドマーク。

数時間後には、橋の下をくぐる我ら。

家を出てから6時間半。

遂にジェノバライン乗り場到着。

出航は16:00。

グッバイ本州。

ハロー淡路島。

大幅に遅れ予定のキャンプ場は断念。

船上から目星をつけておいた場所に到着。

浜風を凌げる場所を探し出しビバーク。

親父はハンモックの予定だったが、適度な立木が無く、ムーンライト2で3人。ギュウギュウ。まさにビバーク。

明石大橋ライトアップ。

夜景一等地。

うっすらと波の音。

テント越しの朝の陽光。

三角窓から見える景色がたまらなく好きだ。

バイクパッキングを手早くまとめ、神戸行きのフェリー乗り場到着。

日曜日の朝。

道中、魚を焼く匂いに平和を感じる。

移動に船が加わるだけで、旅のワクワク感は倍増。

グッバイ淡路島。

ハローアゲイン本州。

The Beach 〈Oru Kayak〉

携帯性最強カヤックが今まで諦めていたフィールドを可能にする。

バスフライフィッシング用にと友人から譲ってもらったのはパーセプションのインパルス10.0だった。
我が家はマンション住まいのため、エレベーターに乗ることが最重要課題であったが、幸運なことにギリギリで乗せる事が出来たため、カヤックフィッシングという新たな世界が開けた。
パドルで水を掻く感覚も、滑るように静かに水面を移動することも全てが新鮮で、水に浮かんでいると不思議と心がピタリと静まっていくのがわかった。
普段なら攻めきれないポイントも、カヤックなら自由自在。
すぐにカヤックが好きになった。
しかし、エレベーターへの積み込みと、それに関わる近所への細かな気遣い、車のキャリアへの上げ下ろしを考えると憂鬱になり始め、水に浮かぶ機会は減っていった。

せっかく新たな世界が開けたと言うのに。
マンション暮らしを恨めいた。

それでも何か方法はないかと探った。
一階の室内駐輪場に置かせてもらう案。
これはマンション理事会で議題にあげ、住居人の賛否を問う必要がある。
次にレンタルガレージ案。
カヤック1艇のためだけにかける固定費としては負担が大きい。
もちろんファルトも候補に上がったが、価格と引き換えに得られるメリットが薄いように感じた。

そんな中で見つけたのがOru Kayakだった。
折り紙にヒントを得て生まれたプラダン製の折り畳みカヤック。
重さはなんと12kg。仕舞寸法85センチ角以内の厚さ30センチ。肩掛けで運べてしまうのだ。
モデルラインナップを見てみると、Bayと呼ばれるツーリング向けが2種類あったが、近々、ニューモデルが発売されるとあった。
名前はThe Beach。


既存モデルよりも幅広でコクピットの開口が大きいレクレーションモデル。
もうコレしかない。これなら全ての問題が一気に解決する。
プラダンと言う、強いんだか弱いんだかわからない素材がどれくらい持つのかが不安要素だった。
あらゆるレビューを調べまくっても、購入断念を決定付けるものは出てこなかった。

最後の難関である価格。
この金で他に何が出来るか。何が買えるか。
なんども自問自答して出した答えは、ここまで真剣に考えると言うことは、自分にとってそれなりの可能性を秘めているギアである。
あとは使って見なきゃわからない。
でかい買い物は、タイミングとある意味、勢いも大事だったりもする。

そんなわけで、オルカヤック導入で何が変わったか。
自宅保管、車までの運搬は期待通り。
フィールドまでの道中だって何も気遣うことはない。
車載では、定期的な固定のチェックや、高速でのコーナーリングだったり、強風で煽られる心配からも解放された。
安心、安全を得た。

しかし、オルカヤックの特徴を発揮するのは軽さだ。
車横付けでは乗り出せない場所、オフロードバイクでないと行けない場所はもちろんだが、山道をひたすら登ってたどり着ける山上湖にこそ、軽さが効いてくる。
背負って長い距離を歩くのに、これに変わる最適なものはあるだろうか。

僕は地図を眺めるのが好きで、暇があれば等高線と水の流れを眺めて、その環境をイメージして楽しんだりしている。
カヤックを始めたことで、渓流だけでなく、野池や山上湖にも興味を持つようになった。
出来ることなら楽して辿り着きたい。
オフロードバイクが無理そうだと判断し、次にマウンテンバイクの可能性を検討する。
実際にカヤック無しのMTBで下見に行ったが、MTBの担ぎが入る箇所がいくつかあった。MTBプランも消えた。
もう後は人力で担ぎ上げるしかない。
山の木々の葉が落ちる頃に挑戦しよう。